四季の展示

四季の展示「銘仙」

2019-07-01

銘仙の原形(江戸後期)は屑繭や玉繭を用いた大丈な太織物で目千・目専と呼ばれました。その頃は無地物、縞、格子柄などで渋みのある地味なものでした。

明治期に入り、ドイツから化学染料が輸入され、色彩も鮮やかになっていきます。産地は関東の山間部の伊勢崎、足利、秩父、桐生、八王子などで、それぞれが競って技術開発をし、解し織や併用織などを導入し模様銘仙として花開かせ多くの女性に好まれました。

大正期には曲線的なアールヌーボー、昭和には幾何学的なアールデコ調を取り入れ、大胆な織柄と色使いで一世を風靡しました。大正から昭和の移りゆく近代化の波にのり一般女性、女学生、モガやカフェーの女給とさまざまな階層の人達に愛され着られました。そして銘仙は多くの女性に絹を着せた功績があり、大正・昭和初期には、もっとも美しいきものが着られた時代でもありました。

しかし、昭和三十年代頃になると生活様式(洋装化)の変化や単衣で着ることのできるウールの出現で需要は激減し、衰退の一途をたどります。

近年、華やかで遊び心のある銘仙をレトロモダンとして若い方の着姿を見かけることがあります。

この度は銘仙裂を展示いたしました。展示の技法の詳細は、七月発行の会報誌「服飾文化六十九号 私達の研究活動 調査室より発信」に掲載いたしました。併せてご覧下さい。

うず巻

うず巻 併用 羽織

うず巻き文を花火に見たてました。日本の夏の風物詩、花火。職人の創造力、たゆまない技術で世界一の花火が誕生。
また夏の夜空に百花繚乱の季節がやってきました。玉やー鍵やー。日本の夏っていいネ。

枝薔薇 半併用 羽織

日本の着物は古来季節感を大切にします。花などの文様は先どりが基本となり着る期間が限定されますが、薔薇に代表される洋花は通年着てよいとされます。壁面に伸びた枝花はいきいきと生命力を感じさせます。

輪繋ぎ菊模様

輪繋ぎ菊模様 解し織 長着

平和と円満の無限の継続を願う、輪繋ぎと大輪の菊が配されています。輪の部分は、中心に花芯を置き、抽象的にデザイン化された花にも見えます。

鳥籠

鳥籠 解し織 長着

籠の中の鳥は鸚鵡です。人の声を真似る賢い鳥であり、二羽で雛を育てるところから家庭円満の縁起物とされてきました。江戸後期頃の簪に鳥籠が見られます。

洋花

洋花 解し織 羽織

目の覚めるような緑青色の地に、涼しげな洋風の花、それとは対照的な臙脂色の葉。レトロモダンな装いを楽しむ銘仙の羽織地です。

リーフ(葉)

リーフ(葉) 半併用 長着

涼やかな※裂取り模様に葉の色で先取る秋を表現しています。
※織物の断片を裂と呼び、裂をさまざまな形に切り取ってパッチワークのように構成したものを裂取りといいます。

麻の葉

麻の葉 併用 長着

庶民の生活から培われ、色彩、美的感覚から生まれた麻の葉柄。決して豪華ではないが江戸文化で花を咲かせた文様は今も愛されています。

麻の葉に葡萄

麻の葉に葡萄 併用 羽織

躑躅色地に大胆に麻の葉を配し、油絵タッチで豊穣のしるし、葡萄が描かれています。麻の葉文は江戸時代、歌舞伎の町娘役の代表柄として大流行しました。

薔薇

薔薇 緯絣 長着

薔薇は西洋から入って来た花です。和服に使う場合、季節を問わないとされ、さまざまな種類の薔薇が文様化されています。花言葉は白色は尊敬、赤色は愛情、緑色は希望です。

うず巻きに落雁

うず巻きに落雁 解し織 長着

初雁は古来より和歌・短歌・俳句にも詠まれ、初秋の夕焼に向ってとんでいる様は風雅さを感じさせます。水辺(渦)に向い急降下。

果実

果実 併用 羽織

大胆な三色使いの中に黄色の果実。エキゾチックなようで、シックにも感じられるのは、色使いと解し銘仙のかすれによる織りの効果でしょうか。

牡丹

牡丹 解し織 羽織

解し織の技法で、百花の王である豪華な牡丹の花を、柔らかな曲線で染められた、優しい雰囲気の銘仙です。

枝花模様

枝花模様 併用 長着

真紅の可憐な花を巾の真ん中に配し、模様銘仙(併用)で陰影をつけ立体的に表わしています。蔓の伸びる力と蕾から咲いた花に成長と無限の発展を感じさせます。

捻じ花 解し織 長着

鮮やかな紫色は、イギリス人のパーキンが発明した「モーブ」と言う化学染料が始まりです。捻じ花と地紙からは、風車や振り子のような動きが感じられます。

青海波に花の丸

青海波に花の丸 解し織 長着

浅葱色と白鼠色の青海波に花丸文を意匠した取合せ。つつじ色の花の丸が鮮やかに描かれて半円を連ねた青海波を引き立てています。花は菖蒲でしょうか。

ノラクロ二等兵

ノラクロ二等兵 経緯絣 長着

戦前から連載が始まった人気漫画。主人公ノラクロが成長、出世していく姿が好評を得ました。戦争柄が流行した時代背景とも重なり文様として用いられたのでしょう。

丸文に薔薇

丸文に薔薇 解し織 羽織

真朱色地に薔薇と横縞の丸文。大正から昭和の銘仙は色彩豊かに斬新な柄を見ることができます。

藤

藤 緯絣 長着

アールヌーヴォー様式の流れるような曲線使いで、垂れ下がる藤を大胆な色と形に変形させています。古くから藤は香りが強くたおやかに咲くことから女性らしさの象徴と考えられてきました。