四季の展示

四季の展示「秋風によせて」

2020-10-06

猛暑の夏を過ごし、吹く風に“あら、もう秋かしら”と秋の気配に季節の移ろいを感じます。
こんな一文を見つけました。
「秋ハ夏ト同時ニ、ヤッテクルー」
太宰治 短編「ア、秋」より
夏の中に秋がこっそり隠れているのですが夏の暑さにだまされて、それには気づかないのであると‥。
秋は澄んだ夜空の月は美しく、虫の音に耳を傾けての読書、散策の折に見つける秋の七草など、コロナ禍の中ではありますが秋を楽しんで下さい。
そしてこの秋の訪れと共に冬もどこかに隠れていて、少しづつ姿を現わすのでしょう。
今回は調査研究室の模様裂の中から“秋”を選び展示いたしました。

籬菊

籬菊(ませぎく) 竜田川 平絹  羽裏

一重や八重の菊が美しく籬(まがき)と共に描かれています。籬菊と呼ばれる文様です。紅葉と流水の組合せ、竜田川には扇子、ひさご、盃が描かれ、紅葉狩りの宴を連想させます。

冊子

冊子 二越縮緬 長着

芸術の秋、世阿弥の世界をちょっと覗いてみませんか。今宵は能楽書を開いてみました。
やさしい風を背に・・・・・

奈良便り

奈良便り 二越縮緬 長襦袢

奈良公園のシンボル、鹿の角切りは、秋の風物詩です。名産霰酒(あられざけ)のとっくり、能のルーツ翁舞(おきなまい)なども描かれています。
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」正岡子規

菊水

菊水 二越縮緬 長襦袢

流水に菊の花を配した文様は菊水と呼ばれ、中国の故事に基づく延命長寿のめでたいしるしとして好まれました。風に吹き寄せられた松葉、紅葉が秋の風情を添えています。

月うさぎ

月うさぎ モスリン 長襦袢

「兎おいしかの山~」故郷の歌、思い出すは若き日々、赤黄と深まっていく秋をゆったりと楽しむ私、これからも穏やかに、美しく、「日日是好日」であれ。

万寿菊

万寿菊 モスリン 女児長着

秋の色彩の中に曲線で描かれた管菊、可愛らしい饅頭の様な万寿菊。菊尽くしのきものを着た愛らしい女児の姿が目に浮かびます。
万寿菊は万寿の字をあて寿命の長久を祝う文様です。

破れ色紙

破れ色紙 二越縮緬 長襦袢

霞たなびく鼠色(ねずみいろ)地に各々の四季が色紙に精緻に描かれています。破れ色紙から少し覗いてみえる業平菱や有職文様である立涌など格調高く雅びな趣きがあります。
「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声きくときぞ秋は悲しき」

鹿 紅葉

鹿 紅葉 平絹 羽裏

秋の山中に佇む表情豊かな鹿のカップルです。秋は鹿の恋の季節。牡鹿が雌鹿を求めて鳴く、扉が軋む様なキイイイというもの悲しい声は「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の~」と唄われました。

フィルム

フィルム 羽二重 羽裏

ネガフィルム風の穴あき枠が中の風景を名画の一場面の様に見せています。映画全盛の時代スクリーンを通して様々な世界に思いをはせたことでしょう。色調が郷愁を誘います。

桜楓文

桜楓文 二越縮緬 長着

秋を装う代表的な楓と古代から愛され続けている桜を組み合わせた春秋文様。風情ある美しいものを合わせたらより美しくなるのでは・・・という人々の嗜好から生まれた文様。

虫籠

虫籠 紋錦紗縮緬 長着

日本の四季 “秋 ”心地よく澄んだ宵 友とおいしい料理とワインで心豊かなひと時、ゆったり楽しい時間をシェア!
庭先から鈴虫たちのメロディーが!

本 ペン

本 ペン 平絹 長襦袢

秋の夜長は日本アルプス写真集で縦走の夢をえがき、モダンなインクの壺、レトロなつけペンも懐かしい。横段地にローマ字で書かれた君が代に時代を感じます。!

和楽

和楽(わがく) 二越縮緬 羽織

鮮やかな青紫色地に、秋花が美しく咲きほこるなか、澄んだ風にのり、ほら、聞こえてきませんか。琵琶、笛、箏(こと)の古典の音色が。

桜楓文

桜楓文 紋繻子 羽織

大胆に配された色とりどりの楓に、舞散る桜の花びらの地紋が浮んで見え、つつましさも感じられる羽織地。桜と楓の組み合わせは好まれます。こんな羽織を羽織ってお出掛けし秋を満喫したいですね。

横段に萩桔梗

横段に萩桔梗 二越縮緬 長着

季節の移ろいとともに咲く萩や桔梗の秋草を配し、露芝が入った染め鹿の子を横段模様にしたモダン柄です。染め鹿の子は絞り鹿の子に模した型染めを施す染色技法です。

秋草に立波

秋草に立波 二越縮緬 長襦袢

大きく波立つ立波文と秋草の文様です。躍動的な波と賑やかな秋草の文様に挟まれた、低い女波と桔梗の凛とした静けさ、美しさが引き立っています。

虫籠と秋草

虫籠と秋草 錦紗縮緬 長襦袢

鈴虫が竹籠から出て草花の中で鳴いて秋の夜長を優しく感じさせてくれます。この様な柄は季節を一足早く取り入れる新鮮さから夏に多い文様です。

冊子に扇

冊子に扇 二越縮緬 長着

秋風にのせて、紅葉狩、能、歌舞伎・・・
お着物でお出掛けしたくなりますね。菊慈童は能の曲名。四番目物です。