ご挨拶

 この度、10月1日より渡邉チヱ先生の後任といたしまして、服飾文化研究会の会長に就任いたしました、小原でございます。大変、身に余る大役ではありますが、理事の皆さまと力を合わせて健全なる運営を行ってまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、令和2年の春から新型コロナウィルス感染症が世界中に拡大し、服飾文化研究会も4月~9月までの半期休講を余儀なくされました。

 休講中も教室活動再開のため、感染防止策を入念に検討し準備をすすめて居りました。休講中の8月には完全予約制ではありましたが、調査研究室のミニ展示「裁縫雛形」とバザーを開催いたしました。暑い中多数ご来場くださいまして有難うございました。

 そして10月から着つけ、和裁、リフォームの全ての部門で、活動を再開することができました。毎年実施の講習会も休講中はできませんでしたが、11月には振袖の講習会を開催して居ります。

 昭和50(1975)年“衣は生活である

 衣の生活を尋ねることは人間の歴史をたどることであり、女性の歴史を学ぶことである”との一文をかかげて活動を進め45年となりました。

 平成7(1995)年、神奈川県より社団法人として許可を受け、さらに平成23(2001)年には内閣府より公益社団法人として認定をいただき、10年となりました。思い起こしますと、認定をいただきました時には大きな喜びと共に今後は広く多くの方々へ益をもたらす活動ができるのかと身の引き締まる思いでした。

 今、この10年を振り返り、私共の会への可能性や期待に対しまして充分に応えられているかどうか見直す機会でもあります。

 〈公益1〉の事業の調査研究室部門は先人の築いた伝統のきもの文化を継承し、時の経過と共に失われていく資料の収集、管理、そしてそれらの資料はテーマを決めて、一般公開を行っています。今後は研究したものの発表ができるよう活動して参ります。

 〈公益2〉伝承事業部は不特定多数の方々へきものへの理解と知識、技術の伝承。和裁部は和裁の知識と裁縫技術の伝承。リフォーム部はきものの素材や色柄を生かし洋服に仕立てる。着つけ部門はきものの知識と着装技術の伝承を行い、一般研究会では、他では学べないことに特化し、プログラムの中に公開講座なども取り入れて学習を行っています。

〈公益3〉文化部として活動して参りました国際交流は、令和2(2020)年に内閣府より、公益3国際交流部門として認められ、海外での活動も可能となりました。現在は、日本で学ぶ留学生の方々へきもの体験ときもののレクチャーを実施し、交流を深めております。

 今後の活動は“初心忘るべからず”冒頭の活動理念を引き継ぎ、服飾文化研究会の活動の礎を築いて下さった、渡邉チヱ名誉会長をはじめとして、先輩諸氏の皆さまにもお応えできますよう、活動を推進して参る所存です。

 日頃より暖かく応援して下さる市井の方々や会員皆さまへ感謝いたし、厚く御礼申し上げます。

令和2年12月
会長 小原映子

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