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夏の花

朝顔は夏の風物詩。夏の日の朝、青や桃色の花を咲かせます。
愛の花ともいわれる香り豊かな薔薇。
蓮は水辺に咲き、早朝に開花し昼には閉じる神秘的な花です。
百合は香わしく風に揺れる大きな花は魅力的です。
太陽輝く空に向かって咲く向日葵。
星のような形をした涼し気な青紫の桔梗。
撫子や萩は秋の七草ですが、夏のきものに文様として描かれ、暑い夏に涼をもたらせてくれます。
文様裂、帯、半衿から夏の花をお楽しみ下さい。

※秋の七草
萩・すすき・桔梗・撫子・女郎花・藤袴・葛

向日葵  塩瀬縮緬  昼夜帯

向日葵  塩瀬縮緬  昼夜帯

帯の文様としては比較的、新しい向日葵(ひまわり)ですが、この帯は大正期の昼夜帯です。
名古屋帯が考案されたのが大正末期なのでその前のものです。
アールヌーボーなどの流行もあり、このようなモダンな文様が好まれたようです。

団扇(うちわ)  綿  長着(浴衣)

団扇(うちわ)  綿  長着(浴衣)

細い竹を骨として、紙や絹を張り文様を付けて、扇(あお)いで風を起こす道具。
元々は打羽(うちわ)でした。多くは円形。夏の季語。
藍染めの丸い団扇にくっきりと白い桔梗、白萩と秋の山草が涼を誘ってくれます。

流水にすすき  縮緬  長着

流水にすすき  縮緬  長着

海外に行くと日本が本当に水に恵まれた国と感じますね。
古来、絶え間なく流れる水は繁栄を表わし、すすきは中が空洞なことから『神が宿る』と信じられていました。色合いも涼しげでさわやかな気分にさせてくれます。

薔薇(ばら)  紋縮緬  長襦袢

薔薇(ばら)  紋縮緬  長襦袢

薔薇は西洋では愛と美の象徴とされ、さまざまな装飾に使われてきました。日本では明治・大正期に大流行し、現在でも振袖や訪問着等のきものや帯の文様として用いられています。

海松(みる)破れ立涌  錦紗縮緬  長着

海松(みる)破れ立涌  錦紗縮緬  長着

涼しげな縹(はなだ)色地に ※有識文様の一つである立涌(たてわく)と海松(みる)を配した海松立涌を、そして存在感のある芙蓉と百合の花籠。
差し色が映えます。
※有識文様…平安時代から伝わる伝統文様。

鉄線  縮緬  半衿

鉄線  縮緬  半衿

昭和初期のものと思われる華やかに鉄線が染められ、差し色の新橋色が紫に映えた半衿です。古さを感じさせない職人の技術と意匠が現代にあっても、人々を魅了します。

芙蓉  長着  縮緬

芙蓉  長着  縮緬

芙蓉と同じアオイ科の植物を意匠化したものは、芙蓉文と呼ばれます。
芙蓉は室町時代に鑑賞されていた記録があるなど、古くから愛でられていました。
夏から秋に白や薄赤色の大きな花を咲かせます。

薔薇  錦紗縮緬  長着

薔薇  錦紗縮緬  長着

花の女王とも呼ばれる薔薇は気品のある美しい姿と良い香りを持ち、大正時代から好まれてきたモダンで華やかな文様です。洋花でありながらも和の装いに馴染み、洗練された雰囲気があります。季節を問わず着用できる模様としても親しまれています。

薔薇と菊と鳥  絹  長着

薔薇と菊と鳥  絹  長着

黒地に花々と豪華な刺繍の鳥。
菊は花屋さんで1年中見かけますがやはり秋が本番。薬草や食用としても用いられます。
薔薇は豪華で鳥も人も惹きつけられます。
どんな帯を締めたのかしら、と想像がふくらみます。

赤い百合  縮緬  羽織

赤い百合  縮緬  羽織

凛として気高く優美な花の姿、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉もあります。
夏らしい鮮やかな赤い百合は、装いに生命力と情熱的な華やかさを添えています。

撫子と萩  経絽縮緬  半衿

撫子と萩  経絽縮緬  半衿

日本女性が大和撫子と例えられるように、清楚で奥ゆかしい撫子の花は、萩の花と共に古くから万葉集にも詠まれています。
経絽の直線的なデザインと化学染料による澄んだ空色は、東西文化が融合した大正期のロマンが感じられる半襟です。

花の丸  絹紅梅  長着

花の丸  絹紅梅  長着

縁(えん)を結ぶことや無限の発展といった願いが込められた吉祥文様の花の丸紋。
女郎花、桔梗、萩、すすきなど可憐な秋草をすっきりとした花の丸紋に仕上げた、季節の先取りを楽しむ清涼な文様です。

朝顔  一越縮緬  長着

朝顔  一越縮緬  長着

夏を表す代表的な花で、江戸時代に朝顔文様のきものや手拭い・櫛・笄・団扇等が大流行しました。
斜め取りの染め鹿子に綺麗な暈しの朝顔、古典的な文様に可愛らしい花の対比がよく合っています。

流水に秋花  経絽  長着

流水に秋花  経絽  長着

経に入った絽目が、暑い夏を過ごす中で早く秋が来ないかと思う人々の目に涼感を演出しています。
流水は水が流れて澱(よど)まないことから縁起が良いとされ、秋花は先取りの美学として取り入れられました。

籠目に百合  毛(モスリン)  帯

籠目に百合  毛(モスリン)  帯

百合は純潔・威厳・無垢などの花言葉を持ち、縁起の良い吉祥文様として知られています。
また籠目紋は竹籠の編み目が魔物を退散させるとして古くから魔除けのお守りとしても使われています。
涼し気な籠目と百合は初夏から盛夏にかけての季節に最適です。

風景文  長着  七本絽

風景文  長着  七本絽

風景文といえば御所解、江戸解、楼閣山水図、茶屋辻、名所図などがあります。
この文様は雲取りに四季花、屋敷、橋など優雅で格調高くい文様です。
流水に蛇籠、花菖蒲は涼をよび、この季節にも相応しいです。
※解きの意味…御所や江戸城で働く女性が宿下がりの時、下賜された小袖を解いて仕立て直したとの説がある。

籠目に撫子  半衿  絽縮緬

籠目に撫子  半衿  絽縮緬

大正時代の半衿です。
この時代、半衿の全盛期で衿を大きく抜き、たっぷりと見せるのがおしゃれでした。
大きな籠目模様に鮮やかな色の撫子の花は華やかに胸元を飾るのに最適なものだったのではないでしょうか。

花熨斗に秋の草花  長着  絽

花熨斗に秋の草花  長着  絽

三本絽の涼しげな藍色地に涼が感じられる秋の草花を、熨斗に包んで水引を飾った花熨斗文様です。
花熨斗とは、しぼのある和紙などで草花を包んだ包熨斗の一種です。

芙蓉  縮緬  半衿(刺繍入り)

芙蓉  縮緬  半衿(刺繍入り)

中国では「蓉」の音が「栄」に通じることから、吉祥の花として扱われました。
夏から秋にかけて咲く白や薄赤色の大きな花は、華やかなきもの柄に多く使われます。
この半衿は、色目と生地を秋冬用にすることで、袷のきものに華を添えたことでしょう。

朝顔・片輪車  七本絽  長着

朝顔・片輪車  七本絽  長着

朝顔は奈良時代に薬用として中国から輸入されました。江戸時代には観賞用として盛んに品種改良され、様々な色や形の花が生まれました。
片輪車は御所車の木製の車輪が乾燥して割れない様に川に浸され半分隠れて見えないよう情景を巧みに捉えて意匠化された文様です。
水辺のトンボも涼を演出しています。

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