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きものに羽織るもの

きものに羽織るもの

 

 季節毎の羽織るものと言えば、秋から春先まで道行や羽織、道中着やコートが主流です。

 昔から究極のお酒落着といわれる羽織、普段着としてきものを楽しむ昨今、羽織を着た姿には、なんとも言えない風情があり、装いに新たな魅力を感じさせます。

 もともと羽織は、男性の礼装として発展してきた歴史を持ち、一般女性が着用したのは、 明治に入ってからです。

 その後、大正時代には、良家の子女は必ず羽織を着て外出したというほど大流行し、昭和初期にかけて個性的な柄の羽織でお酒落をする時代が続きました。

 そして五〇年ほど前までは、入学式や卒業式に出席する母親達は揃って黒羽織で装うなど、お出掛けには欠かせないアイテムだったのです。

 羽織はちりよけとしても使用でき、また外出する際にふわっと羽織るとよそゆきの感じになり、羽織をショールと同じように布として扱うのも一つでしょう。

 若い方は帯だけ結んだ姿でも美しいのですが、年配の方は着物の上に一枚羽織ることで体の線をやさしく包むことができます。

 春先は冬中着ていたものが何となく重く感じられ、早く春物をと心が急きます。今では単羽織と言うと絽や紗、レース等の透ける素材のものを着てしまいますが、その前に透けない素材の単羽織があると大変重宝します。

 又、羽織の他にも、コートを着ずに帯がすっぽり隠れ、前の合わせの分量もたっぷりの大きなショールやマントで。春先はレースのショールや大判のスカーフで。

 女性の身だしなみとして、アクセサリー感覚で活用するのも良いでしょう。

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