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ショール

ショールは、ウールが国内でも生産されるようになった明治の中頃から、防寒用に大判のショールを羽織るようになり、全盛期は大正から昭和の戦前まで大柄で大胆な模様や刺繍入りなど材質も色々ありました。昭和初期には、 貴婦人向けと言って毛皮のショールが 出て、まる仕立てと呼ぶ動物の姿を使った毛皮ショールが流行したり、当時は、防寒コートを着なくても羽織にショールでの外出は普通のことでした。

 

近年、少し気になりますが、冷暖房が行き届き、 地球の温暖化とは言っても、きものの場合、 5月10月は素袷の季節と言って帯付で もよく、 然し10月も末になると外出する場合は中羽織かショール位 は用いたいものです。 肩先あたりが寒々しいのはどんなに上等なきものでも貧相になります。 かえって大判のストールを洋服のセンスでプローチを使ったりして、 まとうのも素敵ではとも思います。 慶弔の装いには、会場までの行き帰り、特に電車などの場合、絵 羽模様には羽織は着ないと言われていましたが、コート、若しくは 無地の羽織をコート感覚で着ても差し支えはないと思います。 昔から慶弔の装いを帯付で出歩くのは慎みが無いとされていました。 それは現代でもマナーであると思うのです。

公益社団法人服飾文化研究会 テキスト下巻より

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