長じゅばん
長着のすぐ下に着るもので、 対丈に仕立てられた、きもの姿の礎になる下着です。
長着の衿や袖口、裾などの汚れを防ぐ役目を果たすだけけでなく、袖口や振りなどわずかにのぞくときの混じゅばんの美しい色柄は、長着の八掛とともに、 〝襲の色目〟という日本固有の服装美となるものです。
《仕立ての種類》
長じゅばんにも袷仕立てと単衣仕立てがあります。
本来は、11月~4月までの寒い季節には袷仕立てでしたが、 最近は寒い季節でも単衣仕立てを着る人が多くなりました。
単衣仕立てでも礼正装など晴着には、袖と裾は袷仕立てにします。
表裏共布で袷仕立てにする袖を無双袖といい、 裾の引返した裾山を、 つまみ縫いしてふきを出したものを裾無垢仕立てといいます。
関東仕立て
裾まで通し衿仕立てにしたものです。
関西仕立て
別衿仕立てともいい、 別衿をつけたもので、体格のよい人に着やすい仕立て方です。
胴抜き
袖と腰から下の裾には同じ布を用い、胴は晒などの別布を使って仕立てたものです。
二部式
共布で上下別仕立てにしたもので、 ちょうど半じゅばんと裾よけを合わせて着るようなものです。
二部式でも胴抜きにしたものは、気軽な街着や平常着に着やすいでしょう。
半じゅばん
5月と10月は素袷の季節といって、 平常着や軽い街着までは長じゅばんを略して、 半じゅばんに裾よけという着装でもよいでしょう。
半じゅばんの身頃は木綿で、袖はレースの筒袖や、夏物の生地をつけ、衿は普通幅に仕立てたものに半衿をかけます。
夏の透けない単衣などにも用意があると重宝します。
《材 質》
絹(紋綸子、錦紗、縮緬、羽二重)
化合織(ナイロン、 アセテート、 ポリエステルなど)
交織(絹と化合織などのまぜ織り)
ウール(モスリン)
その他、夏用として、 絹( 絽 、紗)、木綿 (レース、クレーブ)
《寸法の割り出し方》
身丈
対丈。 長着の着丈より3cm前後短くします。
身幅
後巾――きものの後巾+1~2cm位
前巾――きものの前巾 +3~4cm位
体型や、 長じゅばんの形によって必要な寸法を決めます。
裄
長着の桁より1~2 cm ひかえめにします。
袖幅
長着に袖幅より1~2 cm ひかえめにします。
袖付
長着の袖付より2cmひかえめに、衣紋を抜く人は着物の袖付同様に前後差をつけます。
袖口
ふつう平袖ですが、袖口をつける場合は25cmの袖口とします。また平袖でも袖の丸みだけ、長着の袖に合わせてつけておくと袂がゴロつきません。
衿下
長着の衿下寸法よりも10cm前後低くします。衿先が腰骨の中間にくるようにしておくと、着つけの際に衿元がしっかりします。
衿肩あき
長着より3㎜ほどひかえます。
繰越し
長着と同寸、あるいは3㎜ほどひかえます。
衿幅
広衿、 ばち衿、棒衿とありますが、いずれの衿幅とも長着の衿幅より約8㎜(2分程度、衿芯と半衿の厚み分)ひかえます。