ご挨拶

衣は生活である、衣の文化を尋ねることは人間の歴史をたどることであり、女性の歴史を学ぶことであるとの一文をかかげて、衣生活研究会を立ち上げ、さらに、社団法人服飾文化研究会を創立して、本年15周年を迎えることができました。活動を始めてから、通算35年の月日にやはり感慨深いものがございます。

思えば、名もない市井の平凡な女性たちの集合体ではありますが、冒頭にかかげた一文を志して、先祖から伝えられた衣の文化を相続し、それを掘りおこす研究で学んだ多くのことを、今日的に活かす試みを加え、次の世代へ伝承する活動は、決して華々しいものではありませんでしたが、いま省みて、それぞれに事業を着実になし遂げてきたとの思いがございます。これは、会員の皆さんが子育て、介護、仕事と様々な要因をかかえながらも活動に参加し体験し、体験から学び自己実現を計ってきた結果なのです。先輩から後輩へと志を受け継ぎ、この、ゆるぎない継続が、平凡な女性たちの集合体を、必ずや、ユニークな公益団体として更に成長させるであろうと、思いを強く致します。

しかし今日に至った経過を思い起こすときに、今更のように内外各方面、実に多くの方々から、ご理解とお励ましを頂きました。ご厚情に支えられ、あるときは手探りの私達の道標となって下さり、勇気を頂きながら歩んで参りました。これは本会の歴史であり、語り継がなければならない大切なことと存じ、末筆になりましたが、内外各方面の皆様に深く感謝申し上げる次第です。

この上は、謙虚に学び私達の研究課題として課した日本の衣文化を、美の体系、知の体系、技の体系と体系づけて解き明かす作業をなし遂げるべく、そして戦後自国の文化を軽んじる風調のなかで埋没しがちな文化を掘り起こし、古きを尋ねて新らしきを知る、真理を追究して参る所存です。

どうぞ今後共、皆々様のご指導ご鞭撻賜わりますようお願い申し上げます。

社団法人服飾文化研究会会長
渡邉チヱ